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    世界は質量とお気持ち

    松田:原発どうやった?

    山根:うん…あれは行かないと分かんない系だなって。

    説明を諦める態度、-100点

    松田:まあそれはそう。なんかさ…全体に質量やばない? フィジカルにボリュームありすぎん?

    山根:最初に見たあの無数のタンク…あの一基1億円するやつ。

    松田:あれもな、ほんま多いよな。

    日本経済新聞

    福島第1原発、処理水保管タンクの解体開始 1年で12基 – 日本経済新聞

    山根:あれを見てから、今度は最近になってようやく1gのデブリを取り出せたって話を聞いて、でもそれがまだ何百トンあるって

    廃炉への道、残るデブリ880トン 東日本大震災14年 – 日本経済新聞

    松田:しかしあのタンクな…中身は限りなく普通の水に近い水、国際的なスタンダードなら、ただの排水として海にじゃんじゃん流してるレベルの水やったわけでしょ。

    山根:全然なんか、温泉水の方が…っていう。

    松田:でもまあな、出ちゃったものはそう簡単に流せなかったという理屈も分かる。最近はそういうテンション。

    山根:実際それで、中国は海産物を買わないって言ってたし。

    松田:まあそれはポジショントークやけどさ。

    中国、日本産水産物の輸入再開へ、ALPS処理水について日本と認識を共有 – JETRO

    山根:松田さんはなんか…原発に対してスタンスあるんですか? 原発というか原子力発電というか。

    好きな子聞きたいならてめえから、修学旅行で習わんかった?

    松田:ああ、そら原子力使うしかなくね? とは思ってるよ。

    山根:あ、へえ。

    松田:前提として特別に興味がある分野ではないし、ざっくりとした話でしかないねんけど…国の電源構成を考えたとき、原子力あったほうがいいよねとは思ってる。

    山根:うん…

    松田:たださ、おれ一人の国でおれが決めていいのであればそら再稼働はさせるねんけど…

    山根:笑

    松田:でもあの事故を前提に、心情的にとてもじゃないがという人たちがいるのはおおいに分かるし…福島に行くにつれ、いわゆるお気持ちみたいなのにも相応の正当性はある気がしてきていて

    山根:はい。

    松田:つまりたとえば処理水にしたって、たしかに限りなく水に近い水だとしても、地元の人からしたら、そんなことは起こり得ないと言われた事故を起こして生まれた水なわけで。それを「まあ言うて大丈夫なんですわ」って言われて納得できるわけはないという、その気持ちもすごくよく分かる。

    山根:うんうん。

    松田:だから合意形成が必要だよねって感じ。やっぱね、お気持ちみたいなんは大事なんよ。人が行動するにしてもしないにしても、最後はお気持ち以上に強い根拠はないねんから

    山根:なるほど。

    松田:あとは最初の話やねんけどさ、質量があるとかフィジカルに存在するって、すごく重みがあるんだなって。それは今回もやっぱり思ったな。

    山根:はい。

    松田:だってさ…地域一帯が汚染されましたってなっても、表土を全部剥がしたら線量が下がって除染できたってことになるわけやん。なんかこれ、感覚的にはイージーじゃない? 目に見えない放射能があると言うても、剥がしたらOKっていう。

    山根:うん。

    松田:…でも実際にそれをやるにはさ、膨大な人と時間が必要で、そこで出た土はとりあえずフレコンバッグに詰めて積み上げてるわけやん。これってさ、6桁の数字を書き換えたら一撃で色が変わるみたいな世界観とは全く違うやん。

    山根:…あ、カラーコード的なね笑

    松田:そうそう。確かに表土を剥がしたら除染できるのはその通りなんだが、それをやるのも大変だし、その後にはどうしたらええか分からん汚染土が出て、その土を一時的にさえ置く場所が特別に必要なわけ。

    山根:なるほどな。

    松田:ほんで今フレコンバッグが置いてあるところってさ、あれ基本的には国が買い取ってるねんけど、そういうスキームに納得できなかった一部の地権者は国に土地を貸してんねん。2045年までの定借で。

    山根:うん。

    松田:でもそれさ、ほんまに2045年に間に合うんですかって話は当然あるし、そもそも2045年時点で今の地権者は生きてるんかって話もあるやん

    山根:たしかに。

    朝日新聞

    故郷に帰る「約束の日」まで20年 「除染土」再生利用への現在地 – 朝日新聞

    松田:質量があることとか空間を占めていることの重み、あとは人の気持ちのいかにも無視のできなさとかはな…あるよな。まあ実際の話をすると、福島の現状が自分の生活に直接的に影響している実感はほぼないし、そういう意味ではあんま何も考えてないけどな。

    山根:うん…

    松田:でも原発は動かしてくれよと思うよ。福島ではなく今ここにいるおれはさっさと再稼働しろとしか思わん…し、個人の人格を離れて、我々どうすべきですかみたいな話として言っても、やっぱり動かすべきだと思う。

    山根:へー…そうなんだ。でも今原発が全て止まっていて、なんか困ってる感じします?

    松田:せんよ。

    デロンギ24時間つけっぱにしてたら電気代が家賃の半分超えてて爆困りです

    山根:でも動かしたい?

    松田:確かにね…つまりひとつの原理を受け入れるということはさ、短期的な結果もさることながら、中長期的な帰結も引き受けることになるわけやん。今困っていないのは間違いなくそうなんだけど、もうちょっとスコープを伸ばしたときに、原発がある方がベターだと言えるように思うねんな。

    山根:それが…なんかよく分かんないんですよね。まあおれの地元にも原発があって、そこに住んでいる友達もいるっていうのはあると思うんですけど。なんかやっぱ個人的には、リスクを引き受ける人とリターンを得る人がアンバランスなツールだなと思っていて

    松田:ああ、まあ確かに分からんではない。原発ってちょっとこう、強者の論理っぽさはあるよね。

    山根:そこがしっくりこないポイントではある。

    松田:ただそれで言うとね、おれは自分の家の横に原発あってもええと思ってるかも。原発事故を知ってなおね。

    2025年3月7日
    Aux Bacchanales 紀尾井町